ノーワーク・ノーペイの原則

労働契約というのは、労働者が使用者に対して労務を提供し、その対価として使用者が賃金を支払うという約束ごとなので、欠勤、遅刻、早退などのような労務の提供がない 労働日や所定労働時間がある場合、使用者が労働者に対して賃金を支払う義務はありません。 つまり「働かざる者食うべからず」という言葉の通り 「ノーワーク・ノーペイの原則」があります。

会社によっては、欠勤したり遅刻・早退があったかどうかに関係なく全額を支払う「完全月給制」を採用しているところもありますが、基本的には「ノーワーク・ノーペイの原則」が前提となっていますので、、支払い形態が月給制であったとしても賃金規程でその旨をしっかりと定めてあれば、欠勤控除や遅刻・早退控除を行なう必要はありません。

遅刻

減給の制裁について

ノーワーク・ノーペイの原則とよく間違われるのが「減給の制裁」で、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、 その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」(労働 基準法91条)とされており、これは「ノーワーク・ノーペイの原則」とはまったく異なるもので、遅刻等の服務規律に違反したことを理由に、制裁としての意味合いで減給することで、昭和的な発想ではこのようなことがザラにありましたよね。

しかしながら、賃金控除が可能なのは、1つの違反事案に対して平均賃金の1日分の半額が限度とされていますので、違反事案が複数生じていたとしても、 1賃金支払期の賃金総額の10分の1までが限界とされています。

例をあげると「月間、3回の遅刻で欠勤1日とみなして控除する」というような就業規定がままあったのですが、実際のところ、3回の遅刻は1つの違反事案となりますので、欠勤1日扱いとなるのは過剰なことになってしまいます。

この場合、ノーワーク・ノーペイの原則に従って、遅刻した時間などを控除するべきなのです。