基本給のしくみ

給料明細をみると1番最初に目につくのが「基本給」。

基本給というのは、一般的に「本給」「職能給」と区分されることが多く、本給は、年齢給・勤続給など属人的な意味合いの強いものとなっており、職能給は、 個々の職務遂行能力に応じて査定が行なわれ決定されています。

給料ゲット

このように基本給を基準とする賃金制度は、年齢給や勤続給によって毎年必ず昇給が約束されていることと、職務遂行能力によって等級制度と賃金をリンクさせる職能資格制度が特徴的となっていて、これがこれまでの日本の労働における給与制度である「年功序列制」にもとづく考え方となっていました。

しかし、昨今では、こうした年功的賃金制度を見直す企業が増え始めています。

というのも、本人の能力・企業貢献度に関わらず毎年必ず昇給・昇格が行なわれるということは、ポストがダブついてきてしまい、課長代理、係長補佐などというような、わけのわからない肩書きが多数生まれてしまうだけでなく、賞与や退職金を算定する際「基本給の○か月分」というような基本給連動型が採用されていたため、経営側では、その高騰を抑える目的で、基本給とは別の手当で昇給を行なうなど、 本来の賃金制度が機能しなくなっていました。

そういうわけでこれまでの反省から、職能資格制度に代わって注目されはじめてきたのが、基本給から属人的要素をある程度払拭した範囲給という考え方です。

範囲給というのは 「バンド給」「レンジ給】とも呼ばれ、 賃金表を3等級程度に範囲等級化し、各等級ごとに上限と下限を設け、よりフレキシブルに機能させる賃金制度のことで、昇給は原則として基本給について行なわれるのですが、一般的にはベースアップと定期昇給から成り立っています。

ベースアップというのは「ベア」とも呼ばれ、経済や企業業績、インフレなどに合わせて賃金カーブそのものを上に移動させ、賃金表を書き換えることで、定期昇給は、4月など毎年一定の時期を決めて、その企業の給与規程に定められた昇給制度に従って昇給させることです。

範囲給の設計

範囲給の設計には、重複型・接合型・階差型の3つの方法があり、昇格によって求められる役割などのレベルがどの程度変わるかによって、重複型、 階差型、接合型、に分けられます。

重複型は、昇格しても求められる仕事や役割などに大きな違いが無い場合に用いられ、同じ等級に居続けても、年功的に報酬をアップさせられるという報酬額の上限の柔軟性があり、制度運用上のメリットがあります。
しかし、その反対に昇格インセンティブを示すことができません。

階差型の場合、昇格が能力や実力で厳密に判断され、その昇格によって求められる役割などが大きく向上する場合に用いられ、その役割などの違いを報酬差ではっきり示すことで、昇格インセンティブを与えることができます。
しかし、等級間で開差を設けるため、各レンジにおいて幅を持たせ難くなります。

接合型は、階差型の場合ほど昇格によって求められる役割が変わらない場合に用いられ、報酬レンジが上下等級で接している場合、つまり当該等級の報酬レンジの上限が、一つ上の等級の下限と同額であったり、報酬レンジの下限が、一つ下の等級の上限と同額となるような設計を指し、先ほどの重複型・開差型の中間的なものになります。